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ジャック・モキートの館にて


むかし、むかし。

小さかった頃におねだりしたお話がある。
子供の私は、眠る前どうしてもそのお話を聴きたかった。

そのお話の名前は忘れてしまったけど、この一節だけは覚えている。


お腹をすかせたジャック・モキートは、
いますぐディナーをと、
コックトンベリをしかった

眠りから覚めたマギー奥様は、
まだディナーの用意ができないなんて
しんじられないわ、と、
ジャック・モキートをしかった

あわてたジャック・モキートは、
とにかく急いでディナーを、と、
ふたたびコックトンベリをしかった

それでもコックトンベリは、
あわてず いつもの マイペース


クリスタル・グース


ジャック・モキートの館に足を踏み入れると、自分が小人になった気分だった。

ギガースの主人とラミアの奥さん、トンベリのコックまでそろっている、この館。
一つ一つ扉を開けて、ミルラの木へと続く道がないかを調べていくことになってしまった。


中庭に居たガーゴイルを倒して、扉を開けていく私たち。
そのたびに包丁を持ったトンベリコックたちを倒していく。
9つの扉をすべて開けたが、裏庭に続く道は見つけることができなかった。

「どこにあるんだよぉ〜」コーネの声が大きな館に響く。

その声にご主人が反応してしまったようだ。
大きな地響きとともに一番大きな正面の扉が勢いよく開いた。

ギガースのご主人が地響きをさせながら扉を乱暴にあけ回る。
こっちには全然気が付いていないみたい…


と、中庭の中央にトンベリコックたちが私たちを指差し立っていた。
その指が指し示す方向を見て…私たちを見据えると、ギガースのご主人はニヤリと笑った。


「広がって!コーネとクムゥは後ろを!私とクラトゥで前から戦うよッ!」

散開して一撃を加えようとしたそのとき、扉が開いてラミアの奥さんまで参戦してきた。

「奥さんも…ご飯食べれなくて怒ってるのかな…?」これはのん気なコーネの言葉だ
「何をのん気な。コーネ、キミがここの晩御飯になってしまいますよ…」クムゥもたしなめる。


ギガースのご主人の影からスロウをかけてくるラミアの奥さん。
それを避けながら、私とクラトゥが切りかかる。
後ろからコーネとクムゥがラミアの奥さんを叩く。

クルクルまわり、入れ替わり立ち代りながら4人で戦う。そして…


「えーい!」私のファイアでラミアの奥さんは優雅に倒れた
こんなところで優雅さを出さなくても…と、思った瞬間にギガースのご主人がこちらに振り向く

「ウガアァァァァァ!」と咆哮を上げるとパチパチと空気がはじけてくる

「うわっ…ちょ、そ、それはっ」

ギガースのご主人が大きな息を吸い込み…ダッシュで逃げ出す私


でも…その焦りが「あ、あらっ…あわわぁっ!」、もちろん裏目に出た。


倒れたラミアの奥さんの尻尾に足をとられてこけた私
もうギガースのご主人は準備万端、きらめく息が吐き出され凍ってしまう…!

「さ、寒いのはイヤだよぉ〜」



そのとき、その大きな巨体の後ろからひときわ大きな声が聞こえた

「コーネっ!いきますよ!」クムゥの声とともに青い光が巨体を照らす
それに合わせてパルチザンを振りかざすコーネ

「魔 法 剣 ! ブリザド!」

冷気を帯びたパルチザンがギガースのご主人に突き刺さる



「あ…おしりに…いったそぅ〜」クラトゥが唖然としてる

目の前の獲物(もちろん私のことだ)をよそに文字通り目を白黒させるギガースのご主人

そのまま大きな拳を大地に叩きつけ…まるで駄々をこねる赤ん坊みたいに…そして「ウガァァァァ!!」逃げ出すギガースのご主人。
すごい勢いで外に飛び出していったギガースのご主人を見て、それを追いかけるラミアの奥さん。



そして館はガランと、静まり返った。


ミルラの雫を手に入れたけど、可哀想なことをしたって思ってしまう。
ギガースのご主人は、本当はいい人なのかもしれない…人じゃなくて魔物だけど…

館を出る前、コーネが「ごめんくださいって、言えばよかったのかな?」と見上げて言う。
その一言がおかしくて、クラトゥと一緒に大笑いした。






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